41 南部氏諸士由緒(稿本) なんぶうじしょしゆいしょ

著者 菅馬笑写本


【藩士の由緒・所務】

 岩手県立図書館所蔵・新渡戸文庫  乾坤二冊   (県図・新28・8一29)

【史料の概要】

 慶安二年十二月、盛岡藩は惣家臣に対して由緒書の提出を命じ作成した御家中侍親類書上帳の抄録本。父の氏名(祖父から記載する者もある)の本国・生国・その他事蹟(主家・知行高・南部家に仕えた経過等)。自分の生国、南部家に仕えた経過(主家・知行高 等)、親族(続柄、家禄・等を記載する。収録されている家数は七百五家。諸家に書上控が保存されている例もある。

【史料批判・雑感】

 御家中侍親類書上帳は昭和六十年代まで岩手県立図書館にあったが、現在不明の中で、本書の存在は、藩政初期における盛岡藩士由緒を知る上で貴重本である。本書は寛政十一年北田園平因親の書留によれば、当初中野千左衛門正常が「御家中侍親類書之帳」、イの字よりスの字まで三〇巻を所持していた。しかし、大半が虫に喰われていたので、寛政十年に北村清六定章が借受けて読める範囲で書写、表題を「南部氏諸士由緒」とした。これを更に北田因親が借受けて転写した。岩手県立図書館所蔵本は菅馬笑が更に北田氏本を転写したものである。慶安二年以降、盛岡藩は元文元年に改めて系図書上を命じた。現在盛岡市中央公民館が所蔵する『系胤譜考』六十五冊である。『系胤譜考』は『参考諸家系図』の親本として位置付けられる記録でもある。岩手県立図書館に花巻御給人分「花巻諸士由緒書」(28.8-91)が所蔵されている。

【刊本】
 なし


【参考】

「山本家譜」によれば、藩が編諸士に示した書上ひな形を次のように伝えている。

南部山城守重直公 慶安二年惣家臣え由緒書上被仰付候節 (当主山本)茂村由緒書上左之通

    覚
一、
一、
一、
右之通御座候 以上
                氏名 印形 据判
 慶安二年十二月二十五日
  石井伊賀殿
  楢山五左衛門殿


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