南部家重臣の支配形態・所務の実体 中野南部家の事例 4

 ■ 家族収支予算案

明治二年八月
御省略御伺

一、御払向美輪方にて被成下度候事
一、御賄炊御まし両人之内へ被仰付被下度候事
一、御小者三人之内壱人御下ヶ被成下度候事
一、良之進様へ一ヶ月御米片馬、白粟三升、御雑事七貫文ヅゝ被遣度候事
但、一ヶ年 玄米 六駄 白粟 三斗六升 御雑事八拾四貫文
一、勤番之者へ御手当左に
花輪往来駄賃銭并旅籠共
一、四月より八月まで  拾弐貫文ヅゝ
一、八月末より四月始迄 拾六貫文ヅゝ
彦部・寄木往来駄ちん銭  三貫文ヅゝ
一、四月より九月まで二ヶ月にて五貫文ヅゝ御手当
一、十月より三月まで二ヶ月にて八貫文ヅゝ御手当
右は一ヶ年二人分にて七拾八貫文也

当年中御遣調
一、三百六拾貫文  九月より十二月迄諸御遣
但、一ヶ月九拾貫文積、一日三貫文ヅゝ
一、五百貫文程 大更酒代    
一、弐百貫文程 肴屋かり有之
一、百貫文程  紺屋并所々小払  
一、六百貫文  大更より御借財  
一、六拾貫文  右御借財利足   
一、三百貫文程 暮御払
〆弐千百弐拾貫文程
内六百貫文程有銭
引て千五百弐拾貫文程不足
右は花輪に御有合之御米之内弐拾駄位御払被成候真、御都合に仕度事

献金伺
一、千両
内五百五拾両上納引、残り四百五拾両
右之内
一、六拾三両       有金    
一、弐拾両三歩一朱程   保金五両壱歩
一、六拾両三歩程     文字金拾三両壱歩
一、弐拾両位       御家士より上納見込
〆百六拾四両弐歩一朱程
引て弐百八拾五両壱歩三朱程不足
右は御下屋敷木代并に御諸道具御払にて上納と見込

来午年伺
御飯料
一、御上様  御拾人
御下   九人
勤番弐人 新太郎 女中弐人 まし弐人 御小者弐人
〆拾九人
壱人三駄積にて
此米五拾七駄
一、良之進様     六駄    
一、御宛米并糀代米共 五駄
一、報恩寺へ     壱駄
合六拾九駄

一、三拾五駄  御下ヶ米
引て三拾四駄不足
右は彦部御備米を見込
一、米四拾駄程  花輪御新田出米
但、当年柄御引米并御年貢米とも引て如此見込
一、五駄程    寄木御新田出米
〆四拾五駄
此代弐千弐百五拾貫文
壱駄に付五拾貫文と見て如此

一、弐百貫文程  勤番之者へ御手当
一、五拾貫文   川村新太郎へ御手当
一、五拾六貫文  女中弐人へ御手当
一、五拾六貫文  まし両人へ御手当
一、六貫文    御飯炊へ別段御手当
一、弐百貫文   御小者弐人御給分□
一、八拾四貫文  良之進様へ御雑事
一ヶ月七貫文と見て
一、千八拾貫文  正月より十二月迄諸御遣
一ヶ月九拾貫文積 一日三貫文ヅゝ
〆 千六百七拾六貫文
さし引
五百七拾四貫文
右にて御衣裳類并不時御遣し被成下度候事


■ 年貢米の移動の手形


一、玄米三百弐拾駄  但、壱駄七斗四升入
右は中野筑後知行所花輪村収納米之内是迄爰許ぇ附候処、手違にて
駄送迷惑仕候間、三戸通御代官所ぇ附越相払候間、夏坂・折壁御番
所并途中通御切手共御出被下度奉存候以上
三月    誰 印
御目付中様


一、籾五駄片馬也   但、壱駄七斗四升入
右は南部吉兵衛知行所日詰通彦部村百姓共仕付為入用差越申度候
間、途中無役通御切手御出被下度奉存候以上
四月二日     阿部源左衛門 印  
御目付中様

■ 家士団

家士支配帳
覚  
鹿角郡
一、高三拾五石       川村左学
鹿角郡
一、高弐拾三石壱斗三升五合 川村傳右衞門
北岩手郡
一、高弐拾石        中軽米紋蔵
紫波郡
一、高拾九石        川村喜代太
紫波郡
一、高拾七石        岩花武平治
紫波郡
一、高拾石         長牛林治
鹿角郡
一、高三拾五石       岩館源治
紫波郡
一、高弐拾七石       袰綿多左衛門
鹿角郡
一、高四拾六石       川村多喜人
北岩手郡
一、高拾五石        畑 条左衛門 
鹿角郡
一、高拾五石        工藤快七
紫波郡
一、高拾五石        大里儀左衛門
鹿角郡
一、高拾壱石        川守田民人
三戸郡
一、高拾三石        川守田軍蔵
鹿角郡
一、高拾弐石        工藤源之丞
鹿角郡
一、高拾九石三升四合    工藤源五郎        
鹿角郡
一、高三拾弐石四斗壱升九合 岩館喜代治        
鹿角郡
一、高拾石         菅生冨右衞門       
鹿角郡
一、高拾八石        圓子忠五郎
鹿角郡
一、高拾八石        根市源右衞門
紫波郡
一、高弐拾石        川村新右衞門
鹿角郡
一、高拾八石        長谷川官蔵
紫波郡
一、高三拾四石       川目善右衛門 
鹿角郡
一、高拾七石        川村俊平
鹿角郡
一、高弐拾六石       川村善太郎 
鹿角郡
一、高拾五石        川村理右衛門
紫波郡
一、高弐拾石        中軽米宇右衞門
鹿角郡
一、高拾弐石        立山専弥
鹿角郡
一、高拾石         工藤定助
鹿角郡
一、高拾石         川村長右衞門 
紫波郡
一、高拾石         川目武八郎
南岩手郡
一、高七石         浅蜊勇七
南岩手郡
一、高拾五石        荒川澤右衞門
鹿角郡
一、高拾三石五斗      矢澤新左衛門      
紫波郡
一、高弐拾四石六斗六升七合 太田徳治       
紫波郡
一、高拾石         中軽米和右衞門
鹿角郡
一、高弐拾壱石三斗三升五合 阿部源左衛門      
鹿角郡
一、高三拾五石       大里秀助
北岩手郡
一、高拾石         中軽米宗吾
鹿角郡
一、高拾三石壱升壱合    安保卯七       
鹿角郡
一、高拾石三升       大里真右衞門       
紫波郡
一、高拾石         岩花勝弥
南岩手郡
一、高拾五石        川村宗篤
南岩手郡
一、高拾石         川村新六
紫波郡
一、拾石         袰綿茂左衛門
鹿角郡
一、高弐拾六石       工藤友蔵
鹿角郡
一、高拾石         根市練蔵
紫波郡
一、高七石         太田藤次郎
鹿角郡
一、高九石         川村仙蔵
鹿角郡
一、高拾石         根市蔵之丞
北岩手郡
一、高拾石         中軽米里理
鹿角郡
一、高拾石         関 六兵衛
三戸郡
一、高拾石         小田嶋広志
鹿角郡
一、高拾弐石五斗      橋本瀬左衛門       
鹿角郡
一、高五石         吉田勇次郎
紫波郡
一、高拾弐石        高橋判左衛門
鹿角郡
一、高拾石         関 七九郎
鹿角郡
一、高拾三石三斗三升四合  奈良織太       
紫波郡
一、高拾五石        橋本守右衞門
南岩手郡
一、高拾石         米沢才右衞門
鹿角郡
一、高拾四石三斗三升四合  山屋善作       
南岩手郡
一、高弐拾弐石       森田広治
鹿角郡
一、高六石六斗六升七合   佐藤長十郎       
鹿角郡
一、高拾三石三斗三升四合  村山俊助       
鹿角郡
一、高弐拾石三斗三升四合  関薗右衞門       
鹿角郡
一、高六石六斗六升七合   奈良丈右衞門       
鹿角郡
一、高拾六石六斗六升七合  佐藤新十郎     
紫波郡
一、高三拾石        橋本織人
鹿角郡
一、高拾六石七斗壱升    川又喜八郎      
鹿角郡
一、高拾六石五斗      折戸亀太郎       
鹿角郡
一、高拾八石        関村六左衛門
鹿角郡
一、高七石         斎藤周監
南岩手郡
一、高弐拾石        村井門兵衛
南岩手郡
一、高七石         関 恕仙
鹿角郡
一、高弐拾石        北郷理七郎
鹿角郡
一、高拾九石        小田嶋権八
鹿角郡
一、高拾六石        菅生冨弥
鹿角郡
一、高七石         工藤 賜
鹿角郡
一、高八石五斗       工藤経人
鹿角郡
一、高六石六斗六升七合   佐藤福弥       
紫波郡
一、高七石         長谷川菊弥
鹿角郡
一、高拾石         佐々木治部右衞門
鹿角郡
一、高拾弐石        根市権左衛門
南岩手郡
一、高九石         久保田小市
南岩手郡
一、高弐人扶持       川村七右衞門
鹿角郡
一、高六石         根市経八
鹿角郡
一、高拾五石        大里文右衞門
鹿角郡
一、高拾石         佐藤練助
鹿角郡
一、高拾三石        小山庄助
鹿角郡
一、高三拾八石       柳田文之丞
鹿角郡
一、高拾石         奈良辰平
鹿角郡
一、高弐拾五石       柳田善四郎
鹿角郡
一、高拾八石        根本専右衞門
鹿角郡
一、高拾五石        奈良万右衞門
鹿角郡
一、高三石         関 広路
鹿角郡
一、高拾石         工藤茂助
北岩手郡
一、高拾石         畑 傳蔵
北岩手郡
一、高弐拾石        中軽米紋治
北岩手郡
一、高拾石         中軽米多蔵
北岩手郡
一、高五石         中軽米重之助
北岩手郡
一、高拾石         畑 元悦
鹿角郡
一、高五石         大里善助
鹿角郡
一、高拾石         柳田周治  
鹿角郡
一、高拾石         阿部恭太郎
鹿角郡
一、高五石         奈良熊之助
鹿角郡
一、高七石         相内紋助
鹿角郡
一、高三石         栗山九八
鹿角郡
一、高五石         梅津芳太郎 


北郡
一、高八石         福田善八郎
北郡
一、高拾五石        浜中幾次郎
北岩手郡
一、高拾石         高橋甚八

寺社
一、高三拾五石       長徳寺
一、高六石         行岩寺(長岩寺ヵ)
一、高拾五石        長年寺
一、高五石         八正寺稲荷
一、高三石         天王社
一、高弐石七升三合     長福寺
一、高三石         本宮神社
一、高壱石         三戸斗内村瀧明神社
一、高壱石         同所稲荷神社
一、高五石         寄木村本宮社
一、現米五石        寿稲荷社


一、高弐拾石        御内所御除高
一、高弐拾五石       良之進殿
一、高拾石         梅
一、高五石         花輪肝煎
一、高三石         三ヶ田肝煎
一、高五石         彦部肝煎
一、高三石         本宮肝煎
一、高弐石         斗内肝煎
一、高壱石         瀧田肝煎
一、高壱石         山谷肝煎
一、銭拾貫文        寄木肝煎
一、銭六貫五百文      野田松尾肝煎

一、壱人扶持御切符壱歩弐朱 滝川与助
一、弐駄壱人扶持      伊吹山由太郎
一、壱人扶持        伊吹山安蔵
一、片馬壱人半扶持     石倉辰之助
一、壱人扶持        菊池善右衛門
一、壱人扶持        石倉八太郎
一、壱人扶持        宮 鶴蔵

鹿角郡  花輪住居
紫波郡  彦部住居
北岩手郡 寄木村住居
南岩手郡 盛岡住居
三戸郡  斗内住居
北 郡  七戸・野辺地住居

■ 御番割

文久二年御番割
戌正二月
一、御家老        阿部源左衛門
一、御用人        村井門兵衛
一、若旦那様御附役    岩花直志
一、御番頭御城使兼    橋本周作
一、御小納戸御用人格   中軽米紋蔵
一、御側         高橋小三治
一、若旦那様御相手御側格 橋本禎治
一、御賄         菅生富人
一、表御使        大里民治郎
袰綿多左衛門
三四月
一、御家老        畑 浅右衛門
一、御用人        荒川沢右衛門
一、若旦那様御附役    根市源吾
一、御番頭御城使兼    川村安之丞
一、御小納戸       村山俊助
一、御側         矢沢新左衛門
一、若旦那様御相手御側  川村左学
一、御賄御側       工藤源五郎
一、表御使        大里真右衛門
関 斧助
五六月
一、御家老   
一、御用人        川村俊平
一、若旦那様御附役    根市吾助
一、御番頭御城使兼御取次 川目善右衛門
一、御小納戸       中軽米宇右衛門
一、御側御次       工藤定助    
一、若旦那様御相手御側格 工藤友蔵
一、御賄御小納戸     根市練蔵
一、表御使        安保卯七
工藤経人
七八月
一、御家老        工藤要右衛門 
一、御用人        川守田織右衛門
一、若旦那様御附役    工藤快七
一、御番頭御城使兼御取次 川村仙蔵
一、御小納戸       小田島権八
一、御側御次       中軽米里理    
一、若旦那様御相手御次  岩花左張
一、御賄御御側格     大里秀助
一、表御使        川村勘作
工藤源之丞
閏八九月
一、御家老        橋本織人
一、御用人        関 六兵衛
一、若旦那様御附役    川村与八郎
一、御番頭御城使兼御取次 川守田民人
一、御小納戸       太田叶右衛門
一、御側         畑 末治
一、若旦那様御相手御次  長谷川喜助
一、御賄    
一、表御使        川村寅治
川村三弥
十十一月
一、御家老        岩館源治
一、御用人        橋本瀬左衛門
一、若旦那様御附役    奈良織太
一、御番頭御城使兼御取次 中軽米和右衛門
一、御小納戸  
一、御側御次       川目瀬平 
一、若旦那様御相手御次  川村 努
一、御賄         関 薗右衛門
一、表御使        中軽米宗吾
長牛保人

御家老  工藤要右衛門  折戸市郎右衛門
川村市左衛門
岩館源治
畑 浅右衛門
橋本織人
阿部源左衛門
御用人          菅生伴右衛門
不時御呼上
御番頭          北郷徳右衛門
奈良丈右衛門     
御小納戸         川守田軍蔵
浅利豊七
森田広治  
御側           川村新六
川村新太郎
関村六左衛門
米沢才右衛門
小田島広志
川又喜八郎     
工藤経人  
無 役
川村伝右衛門  川村多喜人    工藤源之丞
岩館喜代治   長谷川重左衛門  立山専弥
川村佐次右衛門 太田徳治     袰綿忠右衛門      
吉田茂理    関 富十郎    山屋善作
佐藤長十郎   佐藤新太郎    工藤 賜
佐藤賢治    長谷川慕     佐々木治部右衛門
根市権左衛門

御番代親         川目喜兵衛
所御用懸り        荒川沢右衛門
川守田軍蔵
中軽米宇右衛門
中軽米弥蔵
関村六左衛門
大里秀助
小田島権八
中軽米里理
宗門奉行         川村俊平
御物書          中軽米宇右衛門
大里秀助
村山俊助
根市源
川村 努
安保卯七
長谷川喜助
川守田民人
御医師          関 甫順
川村宗篤
斉藤周監
御料理方         久保田小市

■ 家士の処遇(旧盛岡藩陪臣資格及待遇)

一、旧盛岡藩士ノ内、禄千石以上ノ者ヲ高知ト称シ家臣ヲ養ヒ、国ニ報ズルノ義務アリ、故ニ其家臣ハ平素文武ノ芸ヲ学ビ、藩主閲覧ノ挙アル時ハ其前ニ於テ書ヲ講ジ武ヲ演ズルコト、藩士ト毫モ異ナルコト無カリキ
一、盛岡城ノ外郭ニ三門アリ、大手門・中ノ橋門・日蔭門ト云フ、其守衛ハ高知ニ命シ、其家臣ヲシテ之ヲ務メシメタリ
一、陪臣ハ一般ニ、又家中ト称シタリシモ、官衙ニ出入スルニ中ノ口ヨリシ、藩士ト異ナルコト無カリキ
一、高知ノ老臣及禄五十石以上ノ家臣ハ、鑓ヲ立ルコトヲ得タリ(藩ノ直臣ニテモ、禄五拾石以下ナレバ、鑓ヲ立ツルコトヲ得ズ)

以上ハ旧藩陪臣一般ノ資格及待遇ト謂フベシ

一、旧藩重臣ノ中南部弥六郎(禄壱万弐千八百石余八戸家ト云フ)・南部吉兵衛(禄三千五百石中野家ト云フ)・南部壱岐(禄弐千八百石余北家ト云フ)三人ヲ御維新前マテハ三家ト称シ、特待セラレ、其家臣モ亦他ノ陪臣ト異ナルモノアリ、左ニ具陳ス、
一、高知ノ役人ニ城使ト云フモノアリ、公事アレハ城中へ出頭シテ用ヲ弁ズ、其用ヲ弁スルニ、三家ノ城使ハ畳ノ上ニ於テシ、他ノ城使ハ板ノ間ニ於テセリ、三家ノ家臣ハ城下ヲ乗馬スルコトヲ得タリ、故ニ盛岡桜馬場(藩臣馬術稽古ノ場所)ニテ藩士ト共ニ馬術ヲ稽古セリ、他ノ陪臣ハ然ルコトヲ得ザリキ
一、三家ノ家臣ハ、藩士ト諸養子結婚スルコト得、他ノ陪臣ハ然ルコトヲ得サリキ

以上三家ノ家臣ト、他ノ家臣トノ階級区別ト謂フベシ

一、鹿角郡花輪町ニ八幡神社ト黒沢神杜ァリ、御維新前ハ其祭典ニ射的式アリ、御神事ト云フ、其射手役ナルモノ陰暦三月三日、八幡神社祭典ニハ中野家ノ家臣之ヲ務メ、同月八日黒沢神社祭典ニハ、藩ノ直臣之ヲ務メ、其儀式毫モ差等ナカリキ
一、延宝ノ初メ南部領ト秋田領ト、屡々鹿角郡境堺ノ争アリ、此時ニ当り、南部藩主、中野康敬(南部康保十代前ノ祖)ニ命シテ花輪城代トナシ、鹿角ノ南部ヲ治メシム、康敬其家臣ニ境役及ヒ花輪町奉行ヲ命シテ之ヲ掌ラシム、其境役ハ南部藩ノ資格ヲ以テ、秋田藩ノ境役ト用ヲ弁シタリ
一、維新前ハ中野家ニテ、其家臣ト藩ノ預り同心(他藩所謂足軽)ヲ以テ兵隊ヲ編制シ、一方ノ守衛ヲ引受ケタリ、而シテ其隊長及各組頭ハ家臣ニシテ、軍鞭ヲ持テ士卒ヲ指揮スルコト、藩兵ノ組頭ト具ナルコト無カリキ

以上ハ中野家ノ家臣ニテ、藩ノ直臣ト同一國事ヲ務メタルモノニシテ、亦他家ノ陪臣ニ異ナルモト謂フペシ

右之通私共心得居候タケ具陳仕候也
明治廿八年十二月一日
(朱書)右鹿角郡花輸町中野家旧家臣共ョリ族籍訂正願 県庁へ提出後県庁ヨリ従前ニ於ケル資格待遇等取調提出スペキ達二依り差出シタル書面ノ写ナリ
(写本は南部富哉氏所蔵分戦災ニテ焼失複写本筆者・淵沢氏・所蔵)
淵沢定行「南部藩の陪臣」(『奥羽史談』第24号22・23頁)


■ 家士の知行目録・百姓小高帳例

清水氏の例
御証文
彦部村之内
一、六石四斗     寺屋敷内
一、四斗六升七合 室屋 与左衛門作
一、弐斗     長瀬 新四郎作
一、三石       中屋敷内
〆拾石六升七合
寛永拾九年
八月廿八日  元康 印
清水傳助
彦部村之内
一、七石    松田 帯 刀
一、三石      中屋敷内
〆拾石 
寛永弐拾壱年
申二月七日   元康 印
清水傳助

為加増鹿角内夏井村肝煎弥蔵持地之内拾石遣之全知行可仕者也
正保三年 
九月拾三日   吉兵衛 印
清水傳助

加増
一、五石
為家督祝儀此段右之通遣し候、加本知全可令知行也
寛文拾庚戌年
三月十七日   伊 織 印
清水喜左衛門との

小高覚
一、高三石壱斗六升 花輪明地 九郎右衞門地
一、同三石八斗八升 同断   弥三郎地
〆七石
右之所遣候真全可令知行者也
貞享三年
二月廿七日   吉兵衛 印
清水庄左衛門との


■ 家士川村多喜人の知行所務

一、高四拾六石    川村多喜人

一、四石七斗壱升弐合    仁助地
六ツ六分弐厘       横町
米〆三石壱斗壱升九合    庄助持
場所早川清水田三百五拾刈
一、四石六斗八合      仁蔵地
四ツ八分         六日町
米〆弐石弐斗壱升弐合    卯之吉持
場所扇之間七百苅りにて高拾壱石六升五合之内六石四斗
五升七合御蔵入    
一、壱石五斗六升八合    長右衞門地
弐拾匁金目        大町
三百拾四文       要吉持
場所玉内沢弐百苅
一、六斗五升        同人地
六ツ成          小深田
米〆三斗九升        久八持
場所鏡田下田表百苅    
一、三斗五升七合      小七郎地
三ツ七分         六日町    
米〆壱斗三升弐合      勇助持
場所松の木坂七拾苅にて高四斗九合之内五升弐合御蔵地
一、壱石壱斗八升七合    兵部地
百弐拾匁振分       谷地田町
米五斗弐升七合       駒吉持
銭七百拾弐文
場所用の目細田百苅
一、壱石三斗七升五合    傳十郎地
六ツ三分         西道口      
米〆八斗六升六合      嘉助持
場所稲村弐百苅
一、三石壱斗六升三合    三十郎地
六ツ五分         蟹沢     
米〆弐石五升六合      三平持
場所中嶋弐百五拾苅
一、三斗八升        久次郎地
四ツ成          明戸村     
米〆壱斗五升弐合      惣助持
場所千苅田畑弐ツ役
一、五石          専太郎地    
五ツ成          小深田    
米〆壱斗弐石五斗      惣助持       
場所小深田開地田八百五拾苅、本高拾石五斗七升八合之内三石
岩館菊次郎拝地、弐石五斗七升八合阿部源左衛門拝地
一、五石三斗五升弐合 三ヶ田 六之丞地
百三拾匁金目               
〆六貫九百五拾八文
場所大久保村之内鴨清水八百苅、番匠田畑拾六ツ役、高九石三
斗五升弐合之内弐石川村俊平拝地、壱石折戸市郎左衛門拝地、
壱石大里秀助拝地、
一、六斗五升         同人地
百三拾匁金目               
〆八百四拾五文
場所大久保村之内上堰の下五拾苅、同所脇に畑壱ツ役
一、七斗           六十郎地
百弐拾五匁金目               
〆八百七拾五文
場所同村之内堰の上、畑三ツ役、長左衛門屋敷の東に苗代長さ
弐枚  
一、三斗五升         同人地
同金目               
〆四百三拾八文
場所同村之内堰の上、畑壱ツ役、同所下に同壱ツ役、同所に小
畑壱枚
一、弐石九斗         同人地
同断               
〆三貫六百弐拾五文
場所かくち田百廿五束苅、同所畑弐ツ役、だんノ平に小畑壱
枚、ふとこ沢所に小畑弐枚
一、壱石壱斗八升五合    小三郎地
百三拾匁金目               
〆壱貫五百四拾壱文
場所大久保村之内横手百五拾苅
一、三石四升弐合      同人地
同断               
〆三貫九百五拾五文
場所杉山村かとの向三百五拾苅、同村前に長さ五枚、横手四百
苅、同所畑□七ツ役、長こきに半ツ役、石佛壱ツ役、田ノ水口
に壱ツ役、上横手壱ツ役、杉山村甚十郎屋敷南に小畑四分程、
右高八石之内壱石五斗八升壱合川又喜八郎拝地、三石三斗七升
七合御蔵入
一、四斗          仁兵衛地
百三拾匁金目               
〆五百弐拾文
場所三ヶ田村之内中畑に畑四ツ役
一、五斗九升三合     庄次郎地
同断               
〆七百七拾壱文
場所
壱石七斗六升八合之内
一、三斗五升       藤左衛門地
百二廿五匁金目               
〆四百三拾八文
場所荒町村之内朴の木畑に畑壱ツ役、荒町村
尻五拾苅
一、八斗         太郎右衛門地
同断               
〆壱貫文
場所下杉山七拾五束苅 五拾苅余畑返家の尻畑壱ツ役程 
一、弐石四斗五升       同人地
同断               
〆三貫六拾三文
場所下杉山弐百五拾苅、村尻道の西壱ツ役
一、七斗           源内地
同断               
〆八百七拾五文
場所荒町下モ平畑弐壱ツ役、同所橋場道添に壱ツ半役、下モ平
反り免に三ツ役
一、弐升八合         同人地
同断               
〆三拾五文
場所しのば谷地小畑壱枚、但、畑返し小長さ三枚有、同所長嶺
道添小畑壱枚
一、三石           同人地
同断               
〆三貫七百五拾文
場所堰添弐百苅、前田百苅、作之丞屋敷続に畑壱ツ役、下モ平
小畑弐枚
一、五斗           同人地
同断               
〆六百弐拾五文
場所向境五拾苅
高〆四拾六石
出米〆拾壱石九斗五升四合
駄に〆拾六駄壱斗壱升四合
役銭〆拾貫弐百三文
振分金目銭〆壱貫廿六文
三ヶ田村金目銭
〆弐拾九貫参百九拾四文
銭惣〆四拾貫五百弐拾三文

■ 名請人六之丞

被遣小高覚                 
一、高壱石          六之丞
右之通被遣候全可被致所務者也
安政二年卯十一月   川村市左衛門
折戸市郎右衛門印
工藤与右衛門印
川村佐平治 印
大里武助殿

被遣替地小高覚
一、高弐石          六之丞
右之通被遭候全可被致者也
安政二年印十一月   川村市左衛門
大里武助  印
折戸市郎右衛門印
工藤与右衛門印
川村左平治殿



被遣小高覚                 
一、高壱石          六之丞
右之通被遣候全可被致所務者也
安政二年卯十一月   人数同断
折戸市郎右衛門殿


被遣替地小高覚
一、弐石四斗五升      太郎右衛門
一、八斗          同人
一、三斗五升        藤左衛門
一、三石          源内
一、七斗          同人
一、五斗          同人
一、弐升八合        同人
一、弐石九斗        六十郎
一、七斗          同人
一、三斗五升        同人
一、五石三斗五升八合    六之丞
一、六斗五升        同人
一、三石四斗弐合      小三郎
一、壱石壱斗八升五合    同人
一、四斗          仁兵衛
一、五斗九升三合      庄次郎
〆弐拾三石
右之通為替地被遣候全可被致所務者也
安政二年卯十二月  川村市左衛門
大里武助  印
折戸市郎右衛門印
工藤与右衛門印
川村佐平治 印
川村多喜人殿


一、御蔵米三拾俵南部吉兵衛預花輪御同心三十人閏正月御扶持に壱人壱依頼にて慥に請取相渡申候己上
天保十二年正月廿八日    工藤勘兵衛 印
清水武右衛門印
川村理兵衛 印
清水喜左衛門印
橋野林左衛門殿
丸子宗五郎殿
右受取始末小頭に相渡

一、六拾人扶持花輪御同心三十人一人弐人扶持宛被下来候処吉兵衛知行場所替に付御代官ぇ御預被差置候処此度知行元場所ぇ御取戻に付御同心共以前之通御預就被成候毎月大小差引小手形取御米相渡
可被申也
安政二年五月         徳之助 印
正 路 印
大 隅 印
佐 渡
新戸部酉市殿
花輪御蔵
藤忠左衛門殿
右小頭呼出相渡御蔵奉行ぇ差出可申候而申下遣
中野南部家『諸御用留帳』  川村家文書



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