平成19年4月11日
豪商があった街
先人記念館企画展から
盛岡城下発展の歩み
紺屋町かいわい



 盛岡の古い町名に焦点を当てた「紺屋町かいわい?紙町・鍛冶町・紺屋町と先人たち?」展が、盛岡市本宮の市先人記念館で開かれれている。江戸時代から明治にかけて盛岡城下の発展に大きな役割を果たした豪商、近江商人とのかかわりや盛岡の近代化に尽くした銀行、会社などで活躍した人々を紹介したもの。写真パネルや看板、古文書などの資料93点が展示されている。

 「紙町」は紙職人の町、現在の上ノ橋町の一部、「鍛治町」は鍛治職人の町として栄えへ現在の紺屋町の一部、奥州道中の一里塚跡が残る。日本橋を起点にして打たれた鍛冶町の一里塚は139番目に当たる。「紺屋町」は中津川を利用した染め物屋が栄えた町。現在の紺屋町と中ノ橋通の一部。

 紺屋町かいわいの中津川には上流から上の橋、与の字橋、中の橋が架かる。この町並みには江戸時代、小野清助(屋号=紺印)が酒、呉服などを扱い盛岡で1、2を競う大店(おおだな)になった。

 村井茂兵衛(屋号=鍵屋)、4代目茂兵衛は幕末のころ、盛岡一の豪商となったが、戊辰戦争の敗戦の際、明治政府の謀略により資金がない藩の身代わりになって経営していた尾去沢銅山を奪われた悲運の豪商として知られる。

 村井弥兵衛(屋号=井弥)は呉服や醤油の醸造所を経営し、明治20年から40年ころには盛岡一の豪商。

 盛岡銀行頭取も務めた長岡半兵衛(屋号=向半)は宝暦7年、鉈屋町から鍛冶町に移り肴商を始めた。後に煙草(たばこ)商も始め南部煙草も発売された。女優長岡輝子さんの親せきに当たる。菊の司酒造、森八商店とござ九(森九商店)、草紫堂(藤田謙)、釜定(宮昌太朗)などの老舗からの資料も展示されている。
 
 明治に入り盛岡銀行が同29年(189.6年)に盛岡交話会のメンバーによって創立された。初代頭取は佐藤清右衛門。村井弥兵衛が2代目頭取に就任した。現在の岩手銀行中ノ橋支店。国の重要文化財に指定されている。

 盛岡電気は明治37年(1904年)に県内初の盛岡電気会社を創立。昭和26年(1951年)に現在の東北電力盛岡支店になる。第一国立銀行は明治10年(1877年)に紺屋町の鍵屋茂兵衛店跡に盛岡支店を設立。官営富山製糸場の工場長を務めた尾高淳忠氏が支店長に就任した。
 
 尾高氏は「交通近代化で経済が活発になる」と明治18年(1885年)、現在の岩手銀行中ノ橋視点に北上廻漕(かいそう)会社の本社を置いた。初代社長に盛岡出身の大矢精助が就任した。北上川の舟運は藩の直営事業だったが、明治になると民間に引き継がれた。

 盛岡の新山河岸?黒沢尻?一関の狐禅寺?
石巻河口まで米や大豆、生糸、煙草などの産物を運んだ。川底の深い石巻?一関狐禅寺間には洋式の蒸気船「岩手丸」も登場した。東北本線の開通に伴い舟運は廃止された。

 展示会場には当時の汽船運賃表が等級ごとに表示さている資料もある。盛岡工業高校建築科の生徒が制作した岩手銀行中ノ橋支店の模型も展示されている。
                        盛岡タイムス平成19年4月11日

開催期間  平成19年2月9日?4月1日まで

【展示資料目録】
生産年・明治11(1878)年、明治12(1879)年
No区分資料名年代
1小野清助宝暦三年南部家御用金番付  宝暦3(1753)年
2村井氏小野氏系図 
3数珠 
4浄土真宗聖典大正8(1919)年
5文化勲章昭和47(1972)年11月3日
6辞令「法務省特別顧問」昭和31(1956)年7月10日?37(1962)年12月28日
7村井茂兵衛鍵屋印鑑
8慶応四年御用金番付慶応4(1868)年
9裁判申渡書明治8(1875)年12月25日
10紫根会所印
11沢田忠兵衛宛岡田平蔵書翰明治5(1872)年3月19日
12守護所上棟札元治元(1864)年
13村井弥兵衛初学勘定考辨記上 
14当用算法記上・下 
15分散勘定書嘉永5(1852)年
16村井弥兵衛古文書 
17鐘淵紡績株式会社製糸販売所看板 
18盛岡商和会協力店看板 
19井弥印鑑 
20銭枡 
21盛岡銀行総会案内状明治37(1904)年1月8日
22北上廻漕会社北上廻漕会社汽船運賃表明治21(1888)年8月
23北上廻漕会社広告明治21(1888)年1月
24北上廻漕会社定款 
25北上廻漕会社申合規則明治20(1887)年
26営業報告書明治18(1885)年、明治19(1886)年
27広告チラシ「精選蚕種販売」明治13(1880)年8月2目
28盛岡市実地明細図明治27(1894)年7月24日発行
29絵葉書「盛岡消防組第四部」 
30第九十銀行置物 
31盛岡銀行葉書「株主委任状」昭和3(1928)年
32盛岡銀行チラシ昭和3(1928)年
33盛岡銀行当座預金通帳大正12(1923)年
34盛岡銀行貯蓄預金通帳大正6(1917)年
35盛岡銀行株券大正9(1920)年5月20日
36盛岡銀行営業報告書昭和3(1928)年?昭和5(1930)年
37五味清吉画扇子「中津川から中の橋と盛岡銀行を望む」大正12(1923)年春
38盛岡銀行模型 
39盛岡電気盛岡電気株式会社開業式案内状大正3(1914)年7月9日付
40盛岡電気株式会社通知書大正6(1917)年12月20日付
41盛岡電気株式会社案内 
42盛岡電気株式会社電灯点火申込書明治38(1905)年6月
43開業式次第大正3(1914)年7月
44盛岡電気株式会社絵はがき
45日詰警察署警告書大正6(1917)年12月
46藤田 謙南部紫の由来昭和2(1928)年4月20日発行
47紫根染クッション 
48茜染クッション 
49元治年間盛岡藩産物番付元治年間(1864?1865)
50長岡半兵衛長岡家家訓板 
51たばこ商鑑札 
52たはこ包装貼ラベル 
53盛岡藩の「煙草屋」商札 
54輸出用葉巻煙草(1ダース紙箱入りセット)明治30年代
55奥州盛岡・向井屋半兵衛製「御徳用煙草」包装袋 
56たばこ袋 
57たばこの葉
58煙草製造営業免許書明治34年4月29日付
59煙草売買営業免許書明治34年4月29日付
60大福帳 
61長岡家図面 
62紙看板 
63宮昌太朗竹雀文鉄瓶 
64十字屋鉄瓶 
65灰皿「大角 山椒魚」 
66花器「二枚蓋 霞」 
67オーナメント「かわせみ」 
68オーナメント「金魚」 
69オーナメント「ふくろう」 
70オーナメント「ひよつこ」 
71ペンダント「スぺート」 
72村井茂兵衛のぼり 
73合羽屋看板 
74大福帳 
75のれん「村井」 
76御用の旗 
77銭箱 
78会計箱 
79布見本帳 
80商い袋 
81背負い箪笥 
82そろばん 
83竿秤 
84瓢箪型天秤秤 
85はんてん 
86すだれ 
87食器類 
88椀箪笥 
89岡持 
90櫛・かんざし 
91和鏡 
92百人一首 
93煙草盆 

一覧にもどる