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| 平成11年11月21日 |
| 古文書をデータベース化書斎の史料がネットへ |
| 《解読》持ち寄り一般にも公開 研究者が共同で作業 全国にも先駆け革新的な試み |
| 江戸時代以降の古文書類の読解に取り組んでいる県内の研究者たちが、インターネット上にそれぞれの研究成果を持ち寄るホームページを開設した。書斎のワープロに眠っている膨大な研究資料を互いに公開、成果を利用し合う。県内にどんな古文書類が存在し、現在までにどの程度解読されているのか、これまで調べる手段すらなかった。ホームページが開設されたことで、郷土史愛好家らが必要とする古文書の所在や内容について情朝交換したり、分担して解読作業を進めることなども容易になる。何よりも災害や研究者の死去などに伴う資料の散逸を免れることができると期待されている。 サイトを運営するのは近世文書研究所(工藤利悦氏主宰)。県内の近世史などを主に研究してきた研究者らで構成している。旧南部藩主南部家第四十五代当主の南部利昭さんが名誉顧問を務める。南部藩の歴史や人物に詳しい工藤さんや、県文化財保護審議会委員の梅原廉さんらが中心となって一年以上前から準備会を開いて作業を進めてきた。山川出版社から発行された「岩手県の歴史」を執筆した岩手大学の細井計教授が顧問、同じ執筆メンバーの県立広田水産高校教頭、鈴木宏さんも会員。 ホームページの名称は「近世こもんじょ館」。盛岡藩を中心にした史料のデータベースを構築する。史料目録には既に約三千件が収められており一般の人も利用できる。 主宰の工藤さんは「古文書というのは、われわれが知らなかった麿史を明らかにしてくれる証人。旧家などに眠っている多くの古文書は、研究者がこつこつと長い時間をかけて解読してようやく書かれた内容が分かる。 しかもそれらのうち活字化され、本の形で一般の人の目に触れるようになるのはごく少数。多くは研究者の自宅のワープロや手書き文書として保存されているだけ、、他の研究者にとってどんなに貴重なものでも、その所在を知ることすら困難だった」と説明する。 本来、こうした古文書類は行政側で解読して公設m文書館・図書館などに資料として保管、利用されるのが望ましいが、解読にかかる経費や著作権などの問題も伴い、全国的にもほとんど手つかずの状態にある。今回が革新的な試みになる。 工藤さは「研究者が自分の研究成果を公開してくれれば、が自分の他の研究者にとってどんなに役立つか。そうすることで、初めて古文書が生きたものになる。本来は行政府がやらなければならないことだが、それを待っていてはいつになるか分からない。われわれ研究者がボランティアとして取り組めば解読作業伴う人件費なども必要ない。古文書というと堅苦しく思われがちですが、子供たちが歴史に関心を持つようすそ 野を広げていきたい」と説明する。 十九日から公開しているホームページで注目されるのは「データベース館」。幕末に盛岡藩の家老を務め、新政府の軍と戦った楢山佐渡の残した沢田家文書は多くが未公開で本格的な解読作業はこれから。解読が進めば幕末の盛岡藩の動向に新たな視点をもたらす可能性もある。ほかに南部家文書の史料目録・解題、研究論文目録などを収録する。 各種近世文書のデーベース化を図る「こもんじょ館」、県内の近世に関したイベント・調査などの情報を発信する「とびっくす館」、近世文書研究所会員の研究論文・随想などを掲示する「れぼーと館」、盛岡領内の仏像、郷土刀などを解説付きで紹介する「えいぞう館」、小中学生を対象にした「こども館」、近世に関する疑問に答える「QあんどA」がある。 古文書の表題や差し出し人、受け取り人、文書が書かれた年で検索することができる。画面には文書の原物を写し出し、解読に際する誤字脱字を防ぐ。解読は難しいという人のため一部の文書にテキスト(活字の文)を付けている。今後、盛岡藩用語辞典、家系辞典、人名辞典を加えていく予定。 来春の開設を目指す「こども館」など準備中のコーナーもあるが、随時内容を更新し充実させていく。「QあんどA」には「盛岡藩と南部藩はどこが違うの?」などの質問が寄せられているという。要望にこたえ過去の岩手山噴火に関する史料も収めた。 ホームページを維持していくため、一般会員(年会蕃6000千円)を広く募集している。会員はホームページに研究論文や調査朝告を発表することができる。 近世こもんじょ館のアドレスはhttp://komonjokan.net 「盛岡タイムス」平成11年11月21日 |